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会計事務所M&A 「買手の視点」‐(中)
NA税理士法人 代表社員 荒井 正巳 氏

 税理士の高齢化と後継者不足により会計事務所のM&Aは増加傾向にあるようだ。しかし、そのプロセスは必ずしも順風満帆とはいかない。顧客と職員を引き継ぐ側の税理士法人にも苦労が多いというのが実情のようだ。事情に詳しいNA税理士法人(東京・豊島区)の荒井正巳代表に話を聞いてみた。 

 これまで実に23回も会計事務所のM&A契約を締結してきました。前回もお話したとおり、規模の大きい事務所は最大手の税理士法人に優先的に紹介されています。そのため、弊社に紹介いただく案件は、職員数人の事務所か、あるいは所長の体調不良や職員の退職など、事務所を続けることに課題がある事務所が多いです。これまで、いろいろなトラブルがありました。振り返ってみるとその原因の多くは、M&A契約を締結するまでの交渉段階で触れることのなかったことや、聞いていなかったことです。

 私は、即決型で(弊社のスタッフには迷惑をかけてしまいますが)、極力、売手の先生の要望を聞き入れています。そうしないと仲介会社さんも弊社に紹介してくれませんから。ただ、無理なものは無理ときっぱりと言うことにしています。条件を飲めるか飲めないかは、代表である私にはすぐに判断できます。つまり、M&Aの契約までに、事前に質問してもらえれば避けることができたトラブルがほとんどだと感じます。

 例えば、事務所が自己所有のため支店化して継続利用を希望されるケースでは、契約上はすぐに税理士を派遣せずそのまま所長として勤務していただく場合があります。規模や立地から支店化するメリットが少ない場合でも要望を受け入れるわけですが、本社の経営にまで口を挟まれるようになるとトラブル…

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