税理士・会計事務所業界の“知る”を支える、情報プラットフォーム

ニュースやお役立ち情報を随時更新!最新のトレンドなら「税界タイムス」

第112号 2026.8.1

日本の農業は税理士が守る! 第6回
税理士 小島拓也

令和のコメ騒動で農業への関心は高まった。しかし、国民の多くは日本の農業の危機的状況を知らない。高齢化と後継者不足の深刻さは増すばかりである。課題は農作物の生産面だけではなく、事業承継や相続対策など、税理士の力が必要な領域にも及んでいる。北海道には、高度なスキルと熱き情熱で、農業経営の継続のために戦う若き税理士がいる。


事業を引き継ぐ相手がいる―。そんな当たり前の前提が、そもそも成り立たない地域がある。前回、私は農業の第三者承継、いわゆるM&Aについて書いた。後継者がいなくても、買い手を探し、価値を評価して引き継ぐ。中小企業では当然の選択肢だ。だが、条件不利地と呼ばれる中山間地域では、その前提が崩れる。引き継ぐ親族もいなければ、外から農業に参入する企業も現れない。M&Aという選択肢そのものが機能しないのだ。

日本のある中山間地域で、私はいま、その現実と向き合っている。農業経営体は四十あまり。うち経営者が六十五歳以上の経営体が八割を占め、後継者のいない経営体は二十五に上る。今後五年から十年で、経営体は半分以下になりかねない。担い手を育てるには数年かかるが、離農はその間に一気に進む。技術やノウハウを受け継がせる側の農業者そのものが、育成を待たずに消えていく。これは農業の問題であると同時に、地域が存続できるかという問題でもある。

では、買い手も後継者もいない地域で、何ができるのか。私が提案しているのが、「地域内承継」である。M&Aが第三者へ経営を渡す「点」と「点」の引き継ぎだとすれば、地域内承継は、地域という「面」で受け止める考え方だ。点在する農家の農地、機械、販路、ノウハウを、地域の中心と…

この記事の続きを閲覧するには、
ご登録 [無料] が必要です。

第112号の目次