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第112号 2026.8.1

審査する面接が人を逃す
選ばれる事務所になる採用・定着ノウハウ

書籍紹介

「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用しても、すぐに辞めてしまう」。本書は、所長のこの二つの嘆きに正面から向き合う。会計事務所に的を絞り、採用から定着までを丁寧につないだ実務書である。

生産年齢人口の縮小に加え、税理士試験の受験者数は平成17年度から令和2年度にかけてほぼ半減した。母集団そのものが縮む以上、給与を少し上乗せしても勝負はつかない。そこで著者が土台に据えるのがMVV(理念・ビジョン・バリュー)であり、「事務所の文化」である。キャリア軸だけでなく趣味や価値観の共有が人をつなぎ留めるという指摘は、若手との温度差に悩む所長ほど腑に落ちるはずだ。

読みどころの一つが、求人票の「見せ方」を説く第1章。条件の羅列を「未来の体験」に書き換えよ、と著者は言う。「法人税申告書の作成補助」は、そのままでは求職者に届かない。「お客様の経営状態の健康診断を行う経営コンサルタントとしての第一歩」と言い換えて初めて、仕事の目的が伝わる。業界用語を求職者の目線に移す作業を、本書は「言葉の翻訳」と呼ぶ。求人票は作って終わりではなく、届いて初めて意味を持つ。「まずは見学だけでも」と心理的ハードルを下げるアイデアまで示す。

もう一つは面接論である。面接が「審査」になった瞬間に採用は失敗する、と本書は言い切る。履歴書を読み上げ、資格と経験年数を一方的に確かめる面接は、応募者に「ここでは息苦しいかもしれない」というイメージを与えてしまう。売り手市場では、その居心地の悪さだけで候補から外される。資格や知識は入社後に補えるが、定着を左右するのは人柄や価値観、学び続ける意欲だという整理も明快だ。面接は事務所が応募…

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