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第109号 2026.2.1

日本の農業は税理士が守る! 第3回
税理士 小島 拓也

令和のコメ騒動で農業への関心は高まった。しかし、国民のほとんどは日本の農業の危機的状況を知らない。高齢化と後継者不足の深刻さは増すばかり。そこには農作物の生産面だけではない事業承継や相続対策など、税理士の力が必要である。北海道には、高度なスキルと熱き情熱で農業経営の継続のために戦う若き税理士がいる。


農業の事業承継というと、多くの人は「後継者がいるか、いないか」という二択で考えがちだ。しかし、現場に立ち続けてきた私の実感は違う。問題の本質は、「継がせ方」を誰も教えてこなかったことにある。農業者の多くは、経営の引き際について語ることを避ける。体が動くうちは現役、限界が来たら考える。その結果、相続が発生したときには準備不足のまま時間だけが過ぎ、家族も地域も疲弊していく。これは能力の問題ではない。仕組みの問題である。

私はこれまで、後継者が明確に決まっている農家であっても、事業承継がうまく進まない事例を数多く見てきた。理由は単純だ。「名義」「権限」「責任」が、いつまでも先代の手元に残り続けているからである。農業は経験がものを言う世界だが、経験と権限は別物だ。経験は共有できるが、判断の機会は渡さなければ育たない。

ある農業法人では、30代の後継者が日々現場を回しながらも、設備投資や資金調達の最終判断はすべて父親が行っていた。私は税務や財務の話だけでなく、「いつ、何を、誰に移すのか」を整理するところから支援を始めた。役員構成、株式の持ち方、報酬の設計。数字を使いながら、親子で将来像を言語化していった。承継が進み始めたのは、株式の一部を後継者に移し、「失敗してもいいから、決めてみろ」と先代が言っ…

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