先日、私のクライアントが決算期末において法人税の納税をするために、メインの信金に借り入れを打診しました。そこで信金の担当者からは「納税は本来自己資金で行うべきものなので、借入の場合、金利は高くなります」と説明がありました。(しかしクライアントは自己資金で納税できる資金は十分にある会社です)
実は、私が銀行員時代に習った考え方とは真逆なのです。今回は「納税用の借入の金利は高いものか?それとも低いものなのか?」についてお話をさせて頂きます。
なお、2026年6月には日銀の政策金利が1.00%まで引き上げられ、貸出金利全体の水準が底上げされています。「金利のある世界」に入った今だからこそ、金利の妥当性をどう見極めるかという視点は、以前にも増して重要になっています。
■納税資金のために借り入れをするのは資金繰りを構築するためのナイスな選択
銀行融資の中には「納税専用」の融資があります。銀行では「決算賞与資金」と言われているもので、資金使途としては「夏・冬の賞与資金」や「中間・決算期末の納税資金」になります。(当然ですが「消費税」納税用では融資はおりません。消費税は預かっているものなので)
ただ、世間では納税用の資金繰りを工面するために、「運転資金」として長期借入にて資金を調達しているケースを多く見かけます。
さきほど「決算賞与資金」の資金使途について触れましたが、一般的には賞与は夏・冬の年2回、納税も中間・期末の年2回。(もちろんそれ以上に中間納付がある会社もあります)つまり、決算賞与資金の返済を「6ヶ月の分割返済」にすることで、年2回発生する支払のタイミングがちょうど合う形になります。
「借りて返済をし、6か月後に完済してまた借りる」
このリズムを資金繰りに入れることで、資金繰りが平準化される効果があります。金利のある世界においては、短期で完済する借入は長期借入に比べて金利負担の総額を抑えやすく、資金繰り平準化のメリットに加えて、コスト面でも相対的な合理性が増しているといえます。実際、政策金利の上昇局面では、長期資金の金利は短期資金以上に上がりやすい傾向があるため、「納税用に長期の運転資金を組む」という選択肢よりも、「決算賞与資金として短期で借りて完済するサイクルを回す」という選択肢の相対的な魅力は、以前より高まっていると言えます。
■「プロパー」で受けられるかどうかも意識したい
税理士なら知っておきたい『銀行融資』の知識【No.20】でお話しした「付帯取引」「融資シェア」の考え方は、この納税借入にもそのまま当てはまります。納税借入は稟議が通りやすく、銀行にとってリスクの低い融資であるからこそ、保証協会保証に頼らず「プロパー融資」として受けられるかどうかを意識してみることをお勧めします。
複数の金融機関と取引がある場合、納税借入のような「稟議が通りやすい融資」を、あえてプロパーを出してくれる銀行に集中させることで、その銀行との取引実績や信頼関係を積み上げることができます。逆に、保証協会保証しか出さない銀行にばかり納税借入を回していると、いつまで経ってもプロパー融資への足がかりが作れません。「通りやすい融資だからこそ、どの銀行に依頼するかを戦略的に選ぶ」という視点を持っておくとよいでしょう。
■金利はリスクに見合ったもので取るのが基本
では、今回の本題ですが、「決算賞与資金」借入の金利は高いのか?低いのか?どちらが正解でしょうか?
私は銀行員時代には「納税資金は短期分割返済でリスクが少ないので、積極的に他行が出している分のシェアを奪ってきなさい」と教えられておりましたし、納税での融資は稟議はスルーパスに近いぐらいほぼ通るものなので、安心して推進しておりました。
信金の見解と私の見解の相違点は
「納税資金は自己資金で行うべき」VS「納税資金は6ヶ月返済だからリスクは少ない」
ここにあります。もちろん、信金が言っている「自己資金で賄うべき」は正論ではありますが、では私のクライアントのように自己資金で納税できる資金繰りにあるものの、納税借入をしてみようとする会社でも金利は高くなるのでしょうか?
これは信金がきちんと資金繰りを見ておらず、画一的に「納税借入=自己資金乏しい」とミス判断をしていると感じます。
「金利」=「リスク」に見合う対価のはずです。
皆さんは、信金と私の考え方のどちらが正しいと思いますか?