Autech株式会社は2026年9月、税理士・会計事務所向けのクラウドサービス「AI株価算定ツール」の提供を開始しました。クラウド会計ソフトfreeeと連携し、非上場株式の評価(類似業種比準方式・純資産価額方式)のデータ取得から将来シミュレーション、顧問先向けレポートの作成まで一貫して行えるサービスです。
■評価方式見直しの議論で高まる「いまの株価」への関心
国税庁は2026年9月、取引相場のない株式の評価に関する有識者会議において、評価方式の見直しに関する資料を公表しました。同日、経済産業省・中小企業庁は、見直しの内容によっては一部企業の評価額が大きく上昇し、事業承継に深刻な影響が及びかねないとする意見を示しています。
制度の行方は今後の議論を待つ必要がありますが、顧問先の経営者からは「自社株はいまどの程度の評価なのか」「承継にどのような影響があるのか」といった質問が増えることが予想されます。現行ルールに基づく株価を速やかに把握し、対話の材料として示せる体制づくりは、多くの事務所にとって重要な課題といえるでしょう。
一方で、株価算定の実務には悩みがつきものです。所長や特定のスタッフしか扱えないExcelに頼りがちで、転記ミスやマクロの保守にも手間がかかります。決算確定から報告までの短い期間で説明資料を揃えるのは難しく、記帳と申告だけで終わってしまい、承継の提案まで届かないケースも少なくありません。
■「AI株価算定ツール」の3つの特長
(1)freeeからのデータ取得で算定まで一気通貫
財務・人事データをfreeeから取り込み、株主判定や会社区分、評価方式の確認から将来シミュレーションまでを、少ない入力で進められます。類似業種比準方式と純資産価額方式に対応しており、転記作業を減らして決算報告に間に合う概算を用意できます。経験の浅いスタッフでも同じ手順で作業でき、事務所全体で運用しやすい設計です。
(2)顧問先との面談に使える株価診断レポート
決算日時点の株価と将来の見通しを、顧問先向けのPDFレポートとして出力できます。決算報告を過去の数字の確認で終わらせず、事業承継という将来の話題へ自然に広げるきっかけとして活用できます。
(3)計算に生成AIを使わない安心設計
名称に「AI」とありますが、株価の計算そのものは評価通達に沿ったルールベースのプログラムで行われます。生成AIはレポート説明文の下書き補助に限定される仕組みです。算定ロジックは福岡のDIG税理士法人が監修しており、特定評価会社の判定、会社規模に応じた類似・純資産の組み合わせ、比準要素数による分岐などが確認済みとされています。もちろん、最終確認は税理士が行う前提です。
■対応範囲と料金体系
対象となるのは、freee会計と連携できる顧問先のうち、非上場の株式会社・有限会社の普通株式です。合同会社や個人事業主、配当還元方式、S1・S2方式、M&AやDCF法による評価、申告書の自動作成は対象外となっています。
顧問先ごとに、時価入力を省いて手軽に概算を出す「簡易版」と、科目や簿外資産・負債の時価まで反映し、算定根拠も出力できる「詳細版」を選択できます。簡易版は年間20社までなら無料で、詳細版は1社あたり税抜3,000円の従量課金です。今後はfreee申告(法人税)との連携も予定されており、申告書の確定値を活用することで、さらなる入力の削減が見込まれます。
評価方式の見直しが現実味を帯びるなか、顧問先の株価を毎年把握しておくことは、事業承継支援の第一歩となります。まずは無料プランで、自事務所の業務フローに合うかどうか試してみてはいかがでしょうか。
(画像:Autech株式会社のプレスリリースから引用)
※参考:Autech株式会社プレスリリース(2026年9月28日)
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