生成AIの普及により、会社設立を検討する起業家の情報収集スタイルにも変化が見え始めています。ベンチャーサポート税理士法人が実施した調査によると、会社設立の準備段階でAIチャットツールを利用したと回答した人(回答数:106)は2割弱にとどまりました。一方で、改めて会社を設立するとしたら専門家など人にも確認したいと考える層は9割弱にのぼり、AIの活用と専門家への相談は対立するものではなく、併用されつつある実態が浮かび上がっています。
■ 情報収集の入口は「専門家のサイト・コラム」が最多
調査ではまず、会社設立準備における情報収集の手段を尋ねています。最も多かった回答は「税理士・司法書士・行政書士などの専門家のサイト・コラム」で約5割に達し、「公的機関のサイト」「クラウド会社設立サービスのサイト・コラム」が続きました。AIチャットツールの利用は17.0%にとどまっており、現時点では専門家が発信する一次情報が、依然として起業準備者の情報収集の中心にあることがうかがえます。事務所として発信するコラムやサイト上の解説記事が、見込み客との最初の接点になっている可能性が高いというデータでもあります。
■ AIに聞きたい理由と、それでも人に確認したい理由
調査では、会社設立の疑問を人よりAIに聞きたくなる理由についても尋ねています。最も多かったのは「何度も聞き直しても気を遣わずに済むから」で、次いで「基本的なことを人に聞くのはためらわれるから」でした。夜間や休日でもすぐに答えが返ってくる点や、質問が整理できていなくても聞ける気軽さも支持されており、AIが基礎知識の確認や疑問の整理に使われている様子がうかがえます。
(1)専門家への確認が必要とされる領域
その一方で、改めて会社を設立するとしたら専門家などにも確認したほうがよいと考える人は9割弱にのぼりました。中でも「必要書類の種類・書き方の確認」が最も多く、「手続きの流れ・全体スケジュールの把握」「法人化や会社形態の判断」が続いています。これらはミスがあると手続きのやり直しや後々の税務上の不利益につながりかねない項目であり、AIの回答だけで完結させることへの慎重さがにじむ結果です。
(2)AIと専門家を組み合わせる情報収集スタイル
これから会社を設立する人に勧めたい情報収集の方法を尋ねた設問でも、「まずAIに聞いて全体像をつかみ、詳細は検索エンジンで調べる」「AIや検索エンジンで下調べし、判断が必要なことは専門家に確認する」を合わせると、全体の6割弱を占めました。AIを入口として使いながら、最終的な判断は専門家に委ねるという段階的な情報収集スタイルが、すでに一定の支持を得ていることがわかります。
■ 税理士・会計事務所が意識しておきたいこと
今回の調査結果からは、起業家がAIを情報収集の入口として気軽に使う一方で、資本金や役員報酬、会社形態の選択といった専門的判断が伴う場面では、依然として専門家への相談を求めていることが読み取れます。事務所としては、AIで調べた内容を土台に相談に来る顧客が今後増えることを見据え、基礎的な質問への対応だけでなく、AIでは拾いきれない個別事情を踏まえた助言に価値を置く姿勢がこれまで以上に求められそうです。あわせて、自事務所のサイトやコラムが情報収集の入口として選ばれている実態を踏まえ、発信内容を充実させていくことも、見込み客との接点を広げるうえで有効な取り組みといえるでしょう。
(画像:ベンチャーサポートコンサルティング株式会社のプレスリリースから引用)
※参考:ベンチャーサポートコンサルティング株式会社プレスリリース(2026年9月10日)
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