記帳業務の中でも特に時間を取られやすいのが、銀行口座やクレジットカードの入出金明細と会計データを突き合わせる「消込」の作業です。取引件数の多い顧問先を抱える事務所ほど、一件ごとに内容を確認し、既存の取引と紐付けたり、新規に取引を登録したりする手間が積み重なり、記帳業務全体の負担になっているのではないでしょうか。
こうした課題に対し、freee株式会社は、入出金明細の消込操作に対応するPublic APIを2026年10月以降、freee認定アドバイザー向けに順次提供すると発表しました。あわせて、AIエージェントからfreeeの各種機能を直接操作できるMCPサーバー「freee-mcp」についても、今回のAPIに順次対応させる予定とのことです。
■ 何が新しくできるようになるのか
今回のアップデートで注目すべきは、これまで手作業で行っていた消込関連の処理を、外部システムやAIエージェント経由で実行できるようになる点です。具体的には、次のような操作が可能になります。
(1)未決済取引と明細の消込
未決済のまま残っている取引と、入出金明細とをAPI・MCP経由で紐付けることができるようになります。請求書を発行したものの入金確認が滞っている、といったケースの処理を自動化しやすくなりそうです。
(2)明細に紐づく新規取引の作成
明細に対応する取引がまだ登録されていない場合、明細に紐づける形で新規取引を作成する処理もAPI・MCPから行えます。あわせて、プライベート取引や口座振替取引としての登録、あるいは「無視」の登録も可能になる予定です。
(3)消込・無視の取り消しと自動登録ルールの適用
一度消込済み、あるいは無視済みとした明細を未処理の状態に戻す操作もサポートされます。また、事務所側であらかじめ作成した自動登録ルールを、未処理の明細に対してAPI経由で一括適用することも可能になるとのことです。ルールをメンテナンスしたうえで一括反映できる点は、複数の顧問先を抱える事務所にとって業務設計の幅を広げる要素といえそうです。
■ 税理士・会計事務所にとっての意味
freeeは2026年3月に「freee-mcp」をOSSとして公開して以降、会計や人事労務、請求書、申告、固定資産といった領域へ対応範囲を拡大してきた経緯があります。今回の消込対応は、その延長線上にある動きです。
会計事務所の視点で見ると、これまでクラウド会計ソフトの画面上でしか行えなかった消込作業を、事務所独自のシステムやAIエージェントに組み込めるようになる点が大きな変化です。顧問先ごとに異なる業務フローに合わせて、記帳から確認作業までを一気通貫で自動化する土台が整いつつあるといえます。人手不足が続く中で、定型的な消込作業をAIに任せ、職員はより専門性の求められる判断業務に注力する、という体制づくりを検討する事務所も増えていくのではないでしょうか。
提供時期は2026年10月以降、まずはfreee認定アドバイザー向けからの開始となり、その後段階的に対象が広がる予定です。日頃freeeを活用している事務所は、今後の提供範囲の拡大状況を注視しておくとよさそうです。
(画像:フリー株式会社のプレスリリースから引用)
※参考:フリー株式会社プレスリリース(2026年9月15日)
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