日々の実務で条文や通達、専門書を確認する時間は、税理士にとって決して軽くない負担です。株式会社丸善リサーチサービスと株式会社Legal Technologyが共同運営する「丸善リサーチ」は2026年9月、この負担を軽くする新機能「AI検索」の提供を始めました。専門書のみを情報源とし、出典まで確認できる点が特徴です。
「丸善リサーチ」、AI検索機能特設ページ
https://pages.tax.maruzen-research.jp/ai_function
■ キーワード検索と生成AI、それぞれの限界
会計・税務の調べものは、これまでキーワード検索が主流でした。しかし適切な検索語を思いつけるかどうかで結果の質が左右されますし、ヒット件数が多い場合は、その中から必要な記載を探し出すのに時間がかかります。
一方で、ChatGPTやGeminiのような生成AIを実務のリサーチに取り入れる専門家も増えてきました。ただし会計・税務の分野では情報の正確性が何より重視されるため、事実に基づかない内容を生成してしまう、いわゆるハルシネーションのリスクは無視できません。生成AIの回答だけを鵜呑みにするわけにはいかず、結局のところ最新の条文・通達や信頼できる専門書に立ち返って確認する作業が欠かせないのが実情です。丸善リサーチのAI検索は、この「調べ始めてから根拠にたどり着くまで」の流れを一本化することを狙って開発されました。
■ 丸善リサーチの「AI検索」は何が違うのか
AI検索の仕組みは、質問文の意味や文脈をAIが読み取り、丸善リサーチに掲載されている専門書籍・雑誌などのコンテンツから関連性の高い記載を探し出し、該当箇所を引用しながら回答文を生成するというものです。実務での使い勝手を左右するポイントは、大きく三つに整理できます。
(1)質問はキーワードでなく自然文でよい
たとえば「免税事業者からの仕入について、経過措置の適用を受けるための帳簿の記載要件は?」といった、日頃使っている言い回しのまま入力できます。検索語を工夫したり、大量の結果を絞り込んだりする手間がかかりません。
(2)参照元は丸善リサーチの掲載コンテンツに限定
インターネット上の情報や生成AI自体が学習した知識ではなく、あくまで丸善リサーチに収録された専門書・雑誌の記載のみを根拠とする設計です。回答の元をたどれる範囲が明確なので、実務で使う上での安心感につながります(一部、対象外となる書籍もあります)。
(3)出典をその場で確認できる
AIが生成した文章とあわせて出典書籍が表示され、該当ページや前後のページもそのまま参照可能です。文章で全体像をつかみ、専門書の該当箇所で根拠を裏づける、という一連の流れを一つの画面で完結できます。なお生成される文章はあくまでリサーチの補助であり、最終的な判断は出典書籍の記載に基づいて行う必要がある点は留意しておきたいところです。
■ 導入のハードルは低め、日常のリサーチに組み込みやすい
利用にあたって追加の契約手続きは不要で、丸善リサーチの契約者であれば誰でも使えます。基本料金の範囲内で月3回まで無料利用でき、より頻繁に使いたい場合は「AI検索Plus」(月額1,500円・税抜)でさらに利用枠を広げることも可能です。まずは無料の範囲で試し、日常的な調べものに定着しそうであれば有料プランへ移行する、という段階的な導入がしやすい料金設計といえます。
条文の解釈や通達の確認、書籍の該当箇所探しに時間を取られがちな税理士にとって、根拠まで遡って確認できるAI検索は、リサーチの初動を早める選択肢の一つになりそうです。
(画像:株式会社丸善リサーチサービスのプレスリリースから引用)
※参考:株式会社丸善リサーチサービスプレスリリース(2026年9月1日)
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