税理士・会計事務所業界の“知る”を支える、情報プラットフォーム

ニュースやお役立ち情報を随時更新!最新のトレンドなら「税界タイムス」

相続税申告、依頼者の8割が「税理士を比較せず」依頼している実態

相続税申告、依頼者の8割が「税理士を比較せず」依頼している実態

相続税申告、とりわけ土地が絡む案件は、評価方法や特例の適用可否によって納税額が大きく変わる専門性の高い分野です。にもかかわらず、依頼者がどのような基準で税理士を選び、申告プロセスのどこに不安を感じているのかは、これまであまり語られてきませんでした。

フジ相続税理士法人(フジ総合グループ)が、過去5年以内に土地を含む相続税申告を税理士に依頼した経験を持つ204名を対象に実施した調査は、その実態を数字で示す興味深い内容でした。

調査結果の詳細

https://fuji-sogo.com/sozoku_knowledge/category_inheritance_tax_valuation_of_land/tax_accountant_comparison/

■税理士選びの決め手は「紹介」と「付き合い」

調査によると、税理士に依頼する前に複数の事務所を比較したかという問いに対し、「比較していない」と答えた人は76.0%にのぼりました。実に約8割が、比較検討というプロセスを経ずに依頼先を決めているということになります。

(1)人的つながりが選定の起点に

依頼する税理士を選ぶ際に重視した点としては、「知人・親族からの紹介」が27.9%、「以前から付き合いのある税理士だったこと」が24.0%と、いずれも人的つながりに基づく回答が上位を占めました。合わせると半数を超える一方、「土地を含む相続税申告への対応実績」や「相続税申告の実績・件数」を重視したという回答は2割前後にとどまっています。専門性の高さよりも、関係性や安心感が選定の起点になりやすいようです。

(2)事前確認は「費用」に偏り

依頼前に確認した内容としては「費用・報酬額」が37.3%で最多となった一方、「特に確認しなかった」という回答も30.4%に達しています。税務調査への対応可否や、土地評価の経験の豊富さといった専門性に関わる項目は、確認した人が全体の4人に1人程度にとどまりました。依頼者が何を基準に事務所を見極めればよいのか、判断材料に迷っている様子がうかがえます。

■申告後も消えない不安、3人に1人が経験

申告を終えた後の心境を尋ねた設問では、「特に不安や後悔はない」が66.7%と多数を占めた一方、33.3%、つまり3人に1人は何らかの不安や後悔を抱えていると回答しています。

具体的には、「料金に見合う対応だったか」「支払った相続税は適正だったか」「特例を十分に活用できていたか」といった内容が上位に並びました。申告自体は完了していても、その中身の妥当性を依頼者自身が検証する手立てがないことが、漠然とした不安として残り続けているものと考えられます。実務負担としては「必要な書類を集めるのが大変だった」という回答が29.4%で最多となっており、土地評価に関わる資料収集の煩雑さも、依頼者にとって大きな負担であることが改めて浮き彫りになりました。

■早期相談へのニーズは、経験者だからこその実感

一方で、専門家への相談時期について「望ましい」と感じるタイミングを尋ねたところ、「相続発生直後」(27.0%)と「生前から」(25.5%)を合わせて52.5%が早期の相談を望ましいと回答しています。申告期限が迫ってからの相談を望む声はわずか4.4%にとどまりました。

これは、実際に申告を経験した人だからこそ辿り着いた実感といえるでしょう。「特例制度の存在をもっと早く知っておきたかった」「書類収集にこれほど時間がかかるとは思わなかった」といった回答も上位に挙がっており、事後的に気づく情報の多さが、早期相談を望む声につながっているとみられます。

私たち税理士にとってこの調査結果が示唆するのは、紹介や過去の付き合いに依存した依頼が主流である以上、専門性や実績を依頼者に分かりやすく伝える工夫が、これまで以上に求められているということです。あわせて、生前からの相談機会を積極的に設けることが、依頼者の負担軽減と特例の最大限の活用、そして申告後の「確かめようがない不安」を減らすことにつながるのではないでしょうか。

(画像:フジ相続税理士法人のプレスリリースから引用)

※参考:フジ相続税理士法人プレスリリース(2026年8月26日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000188331.html

コメント

コメントはまだありません。