近年、税理士事務所や企業の経理・税務部門でも、生成AIを日常業務に取り入れる動きが広がっています。条文の解釈や判例の要旨を尋ねたり、実務上の論点を整理したりする場面で、汎用AIの手軽さは大きな魅力ですが、一方で根拠の提示が不十分な場合があります。株式会社Kaguyaが2026年8月17日に無料β版を公開した税務会計専門AI「Okina」は、まさにその課題に正面から向き合ったサービスといえます。
税務会計専門AI「Okina」無料β版
■汎用AIの「根拠の曖昧さ」という壁
クライアントへの説明資料を作成する際や、社内での意思決定に用いる際、税務・会計の実務では「その見解がどの資料の、どの箇所に基づいているか」を明示できることが欠かせません。ところが汎用AIの回答は、もっともらしい内容であっても出典が曖昧であったり、そもそも根拠が示されなかったりすることが少なくありません。
結果として、AIから得た回答をそのまま使うことができず、あらためて法令や通達、書籍を手作業で確認するという二度手間が生じてしまいます。これは、業務の効率化を目的にAIを導入したはずが、かえって工数を増やしてしまうという皮肉な状況とも言えるでしょう。
■「Okina」が目指す、裏どりの手間を省く仕組み
「Okina」は、こうした課題を解決するために設計された、税務・会計実務者向けのリサーチ支援AIです。
(1)疑問をそのまま入力できる手軽さ
「この取引は消費税の課税対象か」「役員報酬の損金算入における論点は」といった、案件の文脈に即した質問を、そのままの言葉で入力できる点が特徴です。専門用語で言い換える必要がなく、実務の感覚に近い形で使えます。
(2)回答と同時に示される出典情報
質問への回答が表示されると同時に、その見解を支える根拠資料の出典が並んで提示されます。どの資料のどの論点に基づく回答なのかが一目で把握できるため、別のツールで裏付けを取り直す手間が省けます。
(3)原典のハイライト表示による裏どりの効率化
出典をクリックすると、根拠となる該当箇所が原典上でハイライト表示されます。全文を開いて探す必要がなく、必要な部分だけを効率的に確認できる設計です。
無料β版では対象を法令やe-Gov、国税庁タックスアンサーといった公的資料に絞り、まずはこの使用感を体験できる形になっています。
■出版社への還元モデルと今後の展開
正式版では、専門書籍も検索対象に加えた有料サービスとして提供される予定です。
なお、同サービスはあくまでリサーチ支援を目的としたものであり、個別の税務判断や助言を代替するものではありません。最終的な判断は、専門家自身の確認のもとで行うことが前提となります。日々の実務における「裏どりの効率化」という切り口から、AIとの付き合い方を見直すきっかけとして、注目しておきたいサービスです。
(画像:株式会社Kaguyaのプレスリリースから引用)
※参考:株式会社Kaguyaプレスリリース(2026年8月17日)
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