会計事務所の現場では、人手不足と業務効率化への対応が長年の課題となっています。とりわけ記帳業務は、証憑の確認や仕訳入力といった定型的かつ手間のかかる作業が中心であり、生成AIによる自動化への期待が高まってきました。そうした中、弥生株式会社は会計事務所向けの新サービスとして、生成AIを活用した記帳ソリューション「弥生の記帳代行AI」β版の提供を開始しました。
■記帳業務への生成AI活用が進まなかった理由
弥生が2025年10月に会計事務所を対象に実施した調査によると、記帳業務において生成AIを活用している事務所はわずか4.2%にとどまったといいます。生成AI自体への関心は高いにもかかわらず、なぜ活用が進んでこなかったのでしょうか。
その背景には、導入や運用にかかる負担の大きさがあります。取引内容は事務所や顧問先ごとに多岐にわたるため、意図した仕訳が生成されない場合にはプロンプトの調整が必要となり、しかもその精度はユーザーによってばらつきが出やすいという課題がありました。つまり、AIを「使いこなす」ための手間そのものが、導入のハードルになっていたのです。
■「弥生の記帳代行AI」β版が目指す実用性
こうした課題を踏まえ、弥生は新たな設定やメンテナンスを必要とせず、既存の業務プロセスにそのまま組み込める記帳ソリューションとして本サービスを開発しました。特徴は大きく三つに整理できます。
(1)プロンプト運用が不要な高精度仕訳生成
独自開発のLLMを活用し、複雑な取引パターンにも対応した仕訳を自動生成します。プロンプトの改善は弥生側が継続的に行うため、事務所側での設計や調整は不要とされています。
(2)処理スピードのメリット
証憑のアップロードから分類、記帳までを一括してAIが実行し、種別の異なる証憑を100枚程度アップロードしても数分で処理が完了するとしています。従来の記帳代行支援サービスでは仕訳の納品に1営業日を要していたことを考えると、大幅な時間短縮です。
(3)確認作業を意識したUI設計
重複の疑いがある証憑画像を左右に並べて比較できるなど、実務で繰り返し発生する確認作業に着目した設計が施されている点も特徴です。
■今後の展望と会計事務所への示唆
現在は「弥生PAP」会員向けにβ版として無料提供されており、正式版は2026年10月頃のリリースが予定されています。β版期間中に得られるフィードバックをもとに、仕訳精度やUIのさらなる改善が進められる見通しです。
記帳業務の自動化が進めば、会計事務所は入力・確認作業に割いていた時間を、顧問先へのコンサルティングや経営支援といった、より付加価値の高い業務にシフトできる可能性があります。生成AIの活用が事務所の一部の取り組みにとどまらず、標準的な業務基盤として定着していくかどうか、今後の展開が注目されます。
「弥生の記帳代行AI」β版 体験申し込みフォーム
URL:https://forms.gle/1ZG1vnDbEfA8dBB3A
申込期間:2026年8月7日~2026年9月14日
申込条件:「弥生PAP」会員であること
(画像:弥生株式会社のプレスリリースから引用)
※参考:弥生株式会社プレスリリース(2026年8月7日)
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