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TKC全国会がAI活用における「基本方針」を制定

TKC全国会がAI活用における「基本方針」を制定

生成AIが急速に普及し、税務・会計の現場でも業務効率化への期待が高まっています。しかし、会計事務所がAIを活用する場面には、一般企業とは異なる法的なリスクが伴います。そうした状況を受け、税理士・公認会計士が組織するTKC全国会は2026年6月、AIサービスの利用に関する「基本方針」と「顧問契約への絶対的記載事項」を新たに制定しました。

TKC全国会(https://www.tkc.jp/tkcnf/about/

■ AIの活用に関する「基本方針」制定の背景

一般企業がAIサービスを活用する場合、処理するデータは主に自社の情報です。しかし税理士法人や会計事務所の場合、AIに投入するデータの大半は関与先企業のものになります。ここに、一般企業とは異なる法的なリスクが潜んでいます。

まず、税理士法との関係です。税理士法第38条および第54条では、税理士とその職員が業務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。関与先の情報をAIサービスに入力する行為が、この守秘義務違反に問われるリスクがあります。また、職員によるAI利用の管理が不十分であれば、同法第41条の2が定める監督義務違反となる可能性もあります。

次に、個人情報保護法との関係です。関与先から預かった情報をAIサービスに入力することは、個人情報の「第三者提供」(同法第27条)に該当しうるとされています。加えて、海外のAIサービスを利用する場合は、国外移転規制(同法第28条)に抵触する可能性も考えられます。こうした法的リスクを踏まえ、TKC全国会は今回の基本方針を制定しました。

■ AIの活用に関する「基本方針」

基本方針の根幹は、「法令遵守を最優先としたうえで、業務効率化・品質向上のために積極的に活用する」という考え方です。運用上の原則として定められたのは3点です。

(1) 関与先の同意を得たうえで利用すること

(2) 出力結果の正確性を必ず確認し、最終判断は税理士が行うこと

(3) AIの利用状況を「見える化」すること

■ TKC会員事務所における顧問契約への絶対的記載事項

基本方針の制定にあわせて、TKC全国会は実務上の必須対応事項も具体的に示しています。AIサービスを業務で利用する場合、以下の対応が求められます。

(1)「同意」(個人情報保護法第27条第1項)の取得【原則】

関与先の情報をAIサービスに入力する場合は、原則として事前に同意書を取得します。

(2)「通知」(個人情報保護法第27条第2項)の実施

同意書の取得が困難な関与先に対しては、AIサービスの利用目的等を記載した通知書を用いて通知を行います。

(3)個人情報保護方針の改定

「個人情報保護方針」にAIサービスの利用を追加します。

(4)顧問契約書の改定

「TKC会員としての顧問契約の絶対的記載事項」にAIサービス利用に関する項目を追加します。

AIの導入は、会計事務所の業務品質や生産性を高める大きな機会です。しかし同時に、関与先との信頼関係や法的責任を損なうリスクも内包しています。TKC全国会が示した今回の方針は、「何を守りながらAIを使うか」という問いに対する実務的な答えといえます。AI活用を検討している事務所にとって、自事務所のルール整備を見直す契機になるでしょう。

※参考:株式会社TKCプレスリリース(2026年6月3日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000500.000018852.html

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