株式会社鎌倉新書が運営する相続情報サイト「いい相続」は、2026年6月に「第4回 相続手続きに関する実態調査(2026年)」の結果を公表しました。2025年中に同社を通じて専門家との面談や相続手続きの依頼を経験した324名を対象としたインターネット調査で、4年連続の定点観測データとして蓄積が進んでいます。
■ 専門家費用の実態-平均44.9万円、高額化の背景にある財産規模の変化
今回の調査で、相続手続きを専門家に依頼した際の平均費用は約44.9万円となりました。前回(2025年)調査の41.7万円から約3万円の微増です。
費用帯別に見ると「20万円〜30万円未満」が24.3%で最多、次いで「10万円〜20万円未満」が19.2%と続き、30万円未満で手続きを終えた方は全体の48.5%と約半数に上ります。多くのケースでは比較的手の届きやすい費用感で完結している一方、「100万円以上かかった」と回答した方も前回の6.5%から7.5%へと増加しており、こうした高額ケースが全体平均を押し上げている構図は変わっていません。
費用が高額化する主な要因として挙げられるのが、相続財産そのものの規模拡大です。本調査では相続財産の全国平均額が前回の約2,660万円から約3,600万円へと1年で約35%増加しており、地価高騰や株価上昇の影響が色濃く反映されています。財産の評価額が上がれば、相続税申告の要否判断や課税価格の計算も複雑になり、専門家の業務量・難易度も上がります。実際、「相続税申告」を依頼したと回答した割合も前回比で増加(22.4%→24.7%)しており、課税対象世帯の広がりが専門家報酬の上昇に直結しているといえます。
税理士の立場からは、「相続税申告を受けた場合の報酬水準が市場でどう変化しているか」という点でも、このデータは参考になります。財産規模の上昇が続く中で、適切な報酬設定や業務スコープの見直しを検討する際の一つの根拠として活用できるでしょう。
■ 依頼手続きの内訳―「法定相続情報一覧図」が初登場で過半数超え
専門家に依頼した手続きの内容を見ると、「遺産分割協議書の作成」が73.6%で最多、次いで「不動産の名義変更(相続登記)」が62.8%と続きます。これらは前回調査と順位の変化はなく、相続実務の定番業務として引き続き需要の中心を占めています。
今回特に注目されるのが、新たに選択肢に加わった「法定相続情報一覧図の作成」が初回から50.2%と過半数を超えたことです。法定相続情報一覧図とは、相続関係を一覧化した書類を法務局が認証したもので、戸籍謄本の束の代わりに各種相続手続きで使用できます。従来は預貯金の名義変更や相続登記のたびに大量の戸籍原本を提出・返却を繰り返す必要がありましたが、この一覧図を取得しておくことで複数の金融機関での手続きを同時並行で進めることが可能になります。
また、「不動産調査」の依頼割合が25.7%から32.2%へと増加したことも見逃せません。地価高騰が続く中で、被相続人が保有する不動産の正確な評価・把握が以前にも増して重要視されるようになっており、税理士が関与する相続税申告においても、不動産評価の精度が申告の質を左右するケースが増えることが予想されます。
(画像:株式会社鎌倉新書のプレスリリースから引用)
※参考:株式会社鎌倉新書プレスリリース(2026年6月4日)
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