中小企業のM&Aが増加するなか、買収後の統合プロセス(PMI:Post Merger Integration)を支援する専門家として、税理士への期待がこれまで以上に高まっています。イグナル・コンサルティングが2026年4月に実施した「中小企業M&A後の統合(PMI)実態調査2026」(買収経験者・検討中の経営者・役員308名対象)では、顧問先がPMI局面で何を求めているかについて、税理士として見逃せないデータが示されています。
■ PMI情報の入口は「顧問税理士・会計士」
PMI支援に関する情報収集源として最多だったのは「顧問税理士・会計士からの紹介」(38.0%)でした。中小企業診断士や社会保険労務士など他の専門家職種を上回り、顧問税理士・会計士が経営者にとっての「PMI情報の最初の窓口」になっている実態が浮き彫りになっています。
経営者がPMIに関して最初に頼るのは、日頃から数字を共有し関係の深い顧問税理士であることが多い、ということです。税理士自身がPMI全般に精通していなくても、適切な情報提供や他の専門家への橋渡しができるかどうかが、顧問先にとっての大きな分かれ目になり得ます。
■ 経営者が外部専門家に求めているのは「経営計画の策定支援」
では、その専門家に対して経営者は具体的に何を期待しているのでしょうか。外部専門家への期待役割として最も多かった回答は「統合後の経営計画・事業計画の策定支援」(45.1%)で、次いで「統合プロセス全体の進捗モニタリング」(35.1%)が続きます。財務・法務などのテクニカルな支援よりも、買収後の経営の方向性を整理し、計画として落とし込む支援が最も強く求められているという結果です。
これは、同調査で「M&A後の統合で最も苦労したこと」として「従業員のモチベーション維持」(41.2%)や「経営理念・方針の浸透」(34.1%)が上位を占めた事実とも呼応しています。また、買収経験者の約半数(49.5%)が「計画的・体系的な統合に取り組めていなかった」と振り返っており、PMIが依然として場当たり的に進められている実態も示されています。買収後に「もっと早く取り組むべきだった」と最も多く悔やまれるのは「経営理念・方針の策定と共有」(47.3%)であり、こうしたソフト面の課題への支援ニーズが、外部専門家への期待として表れているのです。
顧問税理士として、M&A後の顧問先に対して「税務・財務の統合」だけでなく、経営計画の再構築や統合プロセス全体への関与を視野に入れた支援を意識することが、今後ますます重要になるといえるでしょう。
中小企業M&A後の統合(PMI)実態調査2026
https://igunal.com/pmi-survey-2026/
(画像:イグナル・コンサルティングのプレスリリースから引用)
※参考:イグナル・コンサルティングプレスリリース(2026年4月22日)
コメント
コメントはまだありません。