税理士事務所の日常業務には、クライアントから受け取った紙の領収書やPDFの請求書、Excelの会計データを所定の様式に転記・整形する作業が欠かせません。内容は比較的単純でありながら、案件数に比例して工数が増えていく構造は、多くの事務所が抱える慢性的な悩みではないでしょうか。こうした課題に応えるAIツールが登場しました。Incerto合同会社が2026年4月に提供を開始した『士業Copilot』です。
『士業Copilot』製品ページ
https://www.incerto.tech/products/shigyo-copilot
■ 「AI事務員」として所員と並走するツール
『士業Copilot』は、税理士・行政書士・社労士・弁護士などの士業事務所向けに設計された組織向けAIシステムです。書類のOCR変換から申請書のドラフト作成、法改正のモニタリングまで、事務所内で繰り返し発生する定型業務を幅広くサポートします。
あくまで所員の判断・確認・承認を前提としたサポートツールとして位置づけられており、資格を要する判断や署名・代理業務については、有資格者が必ず実施する運用設計となっています。
■ 士業Copilot、6つの機能
『士業Copilot』が備える機能は6つです。
(1)書類のOCR変換・自動変換
紙の書類や撮影画像をAI-OCRで読み取り、Excel・PDF・メール本文などと合わせて必要項目を抽出し、行政提出用フォーマットをはじめとする所定様式へ自動で変換します。事務所ごとの入力様式や運用ルールも登録でき、出力書式の調整も可能です。
(2)事務所内データの統合と横断検索
事務所内に散在する書類・顧客情報・過去案件・マニュアル等を一元化し、業務上の照会に対して横断的に参照・検索できる環境を整備します。類似案件や所内規程を踏まえた回答の提示、関連資料の即時呼び出しといった用途に活用できます。
(3)ドラフト作成支援
登録済みの類似案件・所内テンプレート・参照法令を踏まえ、意見書・申請書・契約書などの初稿を自動生成します。最終的な判断・署名は有資格者が行うことを前提としています。
(4)行政提出業務との連携
e-Govやe-Taxといった行政手続プラットフォームとの連携により、提出業務の省力化を支援します。対応範囲は順次拡大が予定されています。
(5)クライアント一次対応の支援
問い合わせの受付、必要書類のリストアップ、回収状況の管理など、クライアントとのやり取りにおける定型的な一次対応をサポートします。
(6)法改正・通達のモニタリング
担当案件に関連する法改正や通達を自動で検知し、影響範囲とともに通知します。
■ 機密性への対応と段階導入の柔軟性
税理士事務所が扱う情報は、クライアントの財務情報や個人情報など、高い機密性を伴うものがほとんどです。守秘義務や税理士法上の規律と整合させながらAIを活用するには、情報の取扱いについて慎重な検討が必要となります。
『士業Copilot』はこの点を踏まえ、AI基盤を3つの構成から選択できる仕様になっています。業務データを事務所外に出さずに処理できるローカルLLM構成、入力データの学習利用や第三者提供が行われないエンタープライズ契約ベースのクラウドAI構成(Amazon Bedrockなど)、そして業務の機密度に応じて使い分けるハイブリッド構成の3種類です。事務所のセキュリティポリシーや顧問先からの要請に合わせて選べる点は、士業事務所にとって現実的な導入の入口となりえます。
全機能を一括で導入する必要はなく、最も工数負荷の大きい業務から段階的に始められる点も実務上の利点です。導入の可否にかかわらず、現場の課題がAIで解決できるかを個別に診断する無料ヒアリング(オンライン約45〜60分)も受け付けています。人手不足への対応策として、一度検討の俎上に載せてみる価値はあるかもしれません。
(画像:Incerto合同会社のプレスリリースから引用)
※参考:Incerto合同会社プレスリリース(2026年4月23日)
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