「AIが経理の仕事を変える」と言われて久しいですが、中小企業の現場は実際どこまで変わっているのでしょうか。弥生株式会社が2026年3月に実施した「経理業務のAI・DX活用に関する実態調査」(従業員100名未満の中小企業に勤める経理担当者515名対象)から、期待とは大きく異なる実態が明らかになりました。
■ 繁忙期の負担は2倍超、それでも7割が手作業
年度末の繁忙期には業務負担が平常月の2倍以上に達する一方、経理業務全体の60%以上を手作業で行っていると回答した担当者は約7割にのぼりました。デジタル化が進んでいるとされる現在も、伝票入力や証憑の確認といった作業の多くが依然として人の手に委ねられています。
加えて、経理担当者の半数が日常業務を「めんどうくさい・つまらない」と感じているという結果も明らかになりました。多忙なだけでなく、付加価値を感じにくい定型作業に追われている-それが中小企業の経理現場のリアルです。
■ AI導入は2割止まり、入れても「使いこなせていない」
経理業務へのAIツール導入率は約2割にとどまり、導入済み企業の6割が自社のAI活用度を「60点以下」と評価しています。導入したものの、成果には結びついていない企業が多数派です。
活用が進まない背景には、「最終確認は人が必要で信用しきれない」(33.4%)、「結局、人が全件チェックしており手間が減らない」(25.4%)といった不信感があります。AIの出力をそのまま業務に使えないという感覚が、定着を妨げている構図です。
■ 「定型はAIへ、判断は人へ」-経理担当者が描く役割分担
一方で、担当者がAIに対して否定的なわけではありません。AIに期待されるのは入力チェックや仕訳の自動化などの定型業務であり、法令解釈やイレギュラー対応、責任を伴う判断は「人の役割」と考える経理担当者が多いという結果も得られました。
AIが単純作業を担うことで判断・分析・対話といった人固有の役割へシフトできるとポジティブに捉える担当者も多く、変化への拒絶ではなく、役割の再定義として前向きに受け止めている様子がうかがえます。
AIの活用が進むほど、法令解釈や経営判断に関わる専門的なサポートへのニーズは高まっていきます。今回の調査結果は、税理士が担う役割の重要性を改めて示すものといえるでしょう。
(画像:弥生株式会社のプレスリリースから引用)
※参考:弥生株式会社プレスリリース(2026年3月30日)
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