昨今、クラウド会計の普及により会計事務所の業務環境は大きく変わりつつあります。しかし、クラウド会計を導入しただけでは解決しきれない「入力業務の煩雑さ」に悩む事務所も少なくないのではないでしょうか。今回は、クラウド会計を100%活用するSoNiC会計事務所が、AI-OCR・データ連携ツール「TaxSys(タクシス)」を導入し、記帳業務の工数を約50%削減した事例をご紹介します。
■ クラウド会計だけでは残る「手作業」の壁
クラウド会計を積極的に取り入れている事務所でも、運用を重ねるうちに見えてくる課題があります。SoNiC会計事務所もその一つでした。
同事務所が特に負担を感じていたのが、領収書の登録作業です。会計ソフトのストレージから1件ずつ取り込む、いわゆる「ポチポチ登録」は、同じ取引先の領収書が複数枚ある場合に特に時間を奪われます。また、OCR機能を使っても読み取り精度の問題から人手による確認・修正が発生し、完全な自動化には至らない状況が続いていました。
さらに、主にfreeeを使用しつつも、一部の顧客がマネーフォワード クラウド会計など別の会計ソフトを利用しているケースへの対応が難しく、会計ソフトごとに入力フローが異なることが業務の標準化を妨げていました。「会計ソフトを問わず、インポートまでの入力フローを統一したい」というのが、ツール導入を検討した根本的な動機でした。
■ TaxSys導入で実現した「入力フローの統一」と業務効率化
TaxSysの導入決定において最も重視されたのは、会計ソフトに依存しない形でデータ化からインポートまでのフローを統一できる点でした。
高精度なOCR機能により、領収書の情報をスムーズにデータ化できるようになった結果、手入力やOCR後の修正作業が大幅に減少しました。また、同一取引先の領収書を一括処理できる仕組みにより、freeeの自動登録ルールを最大限に活用しながら効率的な記帳フローの構築が実現しています。
導入効果は数字にも明確に表れています。記帳業務にかかる時間は導入前と比較して約50%の削減を達成し、事務所全体でも約25〜30%の業務時間短縮につながりました。フルリモート環境での導入にもかかわらず、オンラインマニュアルと直感的な操作性のおかげでスタッフへの共有は約1週間で完了し、運用上のトラブルもほとんど発生しなかったといいます。確定申告期においても、医療費控除の領収書集計データをe-Taxテンプレートに活用するなど、効率化の恩恵は記帳業務にとどまりません。
■ 削減した時間を「顧客価値の向上」へ
業務効率化によって生まれた時間をどう使うか。この問いへの答えが、今回の事例が多くの税理士事務所にとって示唆に富む点です。
SoNiC会計事務所では、削減した時間を単なるコスト削減として終わらせず、事業相談・経営分析・融資や補助金に関するアドバイスといった付加価値業務への投資に充てる方針を打ち出しています。「顧客対応の時間を増やしながら、残業ゼロを実現する会計事務所」という目標は、生産性向上と従業員満足度の両立を追い求めるものでもあります。
記帳という定型業務をツールに任せ、人がより深く顧客に関わる体制を整えること——これは、顧問料の単価向上や顧客との関係性強化を考えるうえでも、税理士事務所が今後目指すべき一つの方向性といえるでしょう。AI-OCRをはじめとするテクノロジーの活用は、もはや「コスト削減の手段」ではなく、「事務所としての価値をどこに置くか」を問い直すきっかけになりつつあります。
税理士向け業務効率化プラットフォームTaxSys
https://app.secure.freee.co.jp/applications/46279
(画像:株式会社SoLaboのプレスリリースから引用)
※参考:株式会社SoLaboプレスリリース(2026年3月13日)
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