税理士・会計事務所業界の“知る”を支える、情報プラットフォーム

ニュースやお役立ち情報を随時更新!最新のトレンドなら「税界タイムス」

富裕層・経営者の5割超が相続対策に未着手——税理士が知っておきたい最新調査が示す実態と支援の課題

富裕層・経営者の5割超が相続対策に未着手——税理士が知っておきたい最新調査が示す実態と支援の課題

株式会社青山財産ネットワークスが2025年10月、全国の経営者504名および関東在住の富裕層400名を対象に実施した意識調査の結果が、2026年2月に公表されました。調査結果は、相続対策の遅れと財産観の変化という、税理士が日常業務で肌感覚として持つ問題を、数字で改めて可視化するものとなっています。

■ 半数以上が「何もしていない」——相続対策の実態

調査で最も目を引くのは、相続対策を「何もしていない」と答えた割合の高さです。全国経営者では56.2%、関東の富裕層では43.8%に上り、両者を合わせると50.7%と、5割超が相続対策に未着手という結果が明らかになりました。

前回調査(2025年2月)と比べると、全国経営者で5.6ポイント、関東富裕層で7.0ポイントと、準備を進める層は着実に増加しています。しかし着手した層の行動開始時期を見ると、60代が最多(48.9%)で、次いで70代(22.7%)、50代(15.6%)という順序であり、依然として高齢期になってから動き始めるパターンが主流です。

50代・60代での着手は、生前贈与の活用年数が限られるなど、選択肢が相対的に狭まるタイミングでもあります。40代・50代前半からの早期相談が増えているという現場の声も調査で紹介されていますが、それが大きな流れになるまでには、まだ時間がかかりそうです。

準備が進まない背景として、「死後の話を避けたい」「家族への情報開示に抵抗がある」「後継者が未定」といった心理的・情報的なハードルも指摘されています。顧問先に対して相続の話題を切り出しにくいと感じている税理士も多いかもしれませんが、本調査はその難しさを改めて裏付けるものといえます。

■ 相続税負担への不安と、変わりつつある財産観

相続税負担について不安を感じると回答した割合は、全国経営者47.5%、関東富裕層46.4%といずれも高水準でした。特に全国経営者では前回調査から6.4ポイント上昇しており、地価上昇に伴う課税評価額の増加が、漠然とした不安を具体的な懸念へと変えている様子がうかがえます。関東圏では相続税評価額が億単位で増加しているケースも出ており、納税資金の手当てへの意識が高まっています。

財産観についても、変化の兆しが見られます。「財産」と聞いて思い浮かべるものとして、不動産が依然として最多(経営者80.8%、富裕層87.8%)である一方、有価証券を挙げる割合が関東富裕層で微増(前回比3.7ポイント増)しました。NISA制度の拡充や物価上昇への備えを背景に、不動産一辺倒から流動性資産も組み合わせた資産構成へと関心が移りつつあるようです。

■ 税理士に求められる「全体最適」の視点

調査の参考情報として紹介されている現場の声も、税理士にとって示唆的です。近年、税理士・司法書士・弁護士といった専門家から、「部分最適ではなく全体最適を求めた相談」が増えているといいます。不動産・相続・税務を横断した視点での判断の重要性が高まる中、税理士にはこれまで以上に広い視野が求められています。

また、「当事者(オーナー)が動かないと何も始まらない」という構造的な課題も指摘されており、配偶者や子ども世代から「どうすれば親に動いてもらえるか」という相談が水面下で増えているとのことです。こうした場面で、長年の信頼関係を持つ税理士が果たせる役割は小さくありません。本調査の数字を一つの切り口に、顧問先との相続対策の対話を始めることも、有効なアプローチといえるでしょう。

 (画像:株式会社青山財産ネットワークスプレスリリースから引用)

※参考:株式会社青山財産ネットワークスプレスリリース(2026年2月19日)

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000089580.html

コメント

コメントはまだありません。