経営者には「社会保険料」を節減したくて役員報酬をかなり低めに設定しているケースを見かけます。その代わりに他の経費(実際には私的なものもあると思われる)を会社負担にして、役員報酬の代わりにもらう意図があると思われます。
そのような策を続けていると、会社の損益は歪んできますし、銀行からの評価も下がる可能性があります。今回は過度な役員報酬を選択するとどのような影響が出るのかについてお話をします。
2026.5.29
経営者には「社会保険料」を節減したくて役員報酬をかなり低めに設定しているケースを見かけます。その代わりに他の経費(実際には私的なものもあると思われる)を会社負担にして、役員報酬の代わりにもらう意図があると思われます。
そのような策を続けていると、会社の損益は歪んできますし、銀行からの評価も下がる可能性があります。今回は過度な役員報酬を選択するとどのような影響が出るのかについてお話をします。
目次
健康保険・厚生年金の社会保険料は、役員報酬をもとに算出した「標準報酬月額」に保険料率を掛けて決まります。報酬を下げれば保険料も下がるため、節減策として役員報酬を意図的に低く設定する経営者がいます。しかし報酬を下げても、実際の生活費は必要です。そのぶんを会社から別の形で捻出しようとすると、さまざまな歪みが生じます。
これらが積み重なると、貸借対照表の社外流出科目が発生します。また、損益計算書の固定費が膨らみ、本業の実力を示す「営業利益」が実態より悪く見えるようになります。
融資審査で懸念される点は以下のとおりです。
・役員賞与が毎年変動するため、会社のキャッシュフローの予測が立てにくくなります。
・交際費・交通費がそのビジネスモデルで本当に必要な水準なのか、疑問を持たれます。
・貸付金・仮払金の残高が「公私混同」の証拠と見なされます。
・経営管理の姿勢に対して不信感を持たれ、融資姿勢全体が消極的になりやすくなります。
本業のビジネスモデルがしっかりしていても、こうした帳簿の歪みがあると、銀行の評価は下がります。
標準報酬月額が低いと、将来受給できる老齢厚生年金も少なくなります。保険料を節減した分、老後の年金収入が目減りするという反作用があります。
役員報酬が極端に低いと、住宅ローンや個人保証が絡む融資の審査で、収入証明として役立たないケースがあります。会社の評価だけでなく、個人の信用にも影響します。
社会保険料の節減自体は違法ではなく、合理的な範囲で行うこと自体は問題ありません。しかし度を超えると、
一つの節減策が複数のリスクを引き起こしえます。節税・節減はバランスが重要で、その反作用を理解したうえで判断することが求められます。