銀行に融資の相談をすると、真っ先に提案されるのが「保証協会保証付き融資」です。中小企業にとって使いやすい制度ですが、それだけで終わらせてしまうのはもったいない。今回は、保証協会融資を提案された際に「プロパー融資」も同時に引き出すべき理由と、複数行取引における銀行戦略のポイントをお伝えします。
2026.5.8
銀行に融資の相談をすると、真っ先に提案されるのが「保証協会保証付き融資」です。中小企業にとって使いやすい制度ですが、それだけで終わらせてしまうのはもったいない。今回は、保証協会融資を提案された際に「プロパー融資」も同時に引き出すべき理由と、複数行取引における銀行戦略のポイントをお伝えします。
目次
保証協会保証付き融資とは、信用保証協会が保証人となって銀行が融資を行う仕組みです。万が一企業が返済できなくなった場合、信用保証協会が銀行に代わりに弁済します。そのため銀行にとってリスクが低く、中小企業でも借りやすいのが特徴です。
一方、プロパー融資とは信用保証協会を介さずに銀行が直接行う融資です。銀行が貸し倒れリスクを100%負うため、審査は厳しくなりますが、保証料が不要で融資限度額もなく、銀行からの「信頼の証」として企業の信用力向上につながります。
※補足説明
プロパー融資は保証料がかからないため、総借入コストを抑えられるメリットもあります。保証協会付き融資の保証料は年率0.45〜1.90%程度(制度融資では補助あり)。1,000万円・5年間の借入なら保証料だけで30〜40万円前後になるケースもあります。
責任共有制度のもと、保証協会融資は原則として信用保証協会が80%・銀行が20%の割合でリスクを分担します。
重要なのは「どの銀行を通しても、保証協会融資の中身はほぼ同じ」という点です(金利は金融機関によって若干異なります)。無担保の保証限度額は1企業あたり8,000万円、有担保を加えると2億8,000万円が上限です。
保証枠は1企業につき共通の上限(無担保8,000万円)が設定されており、複数行で取引していても合算で管理されます。つまり「先に申し込んだ銀行が枠を取る」という先着順の実態があります。これが銀行間の取り合いになる理由です。
複数の銀行と融資取引がある場合、保証協会融資をメインではなく2番手の銀行から先に借りてしまうと、メイン行はどう思うでしょうか。
メイン行がよく抱く不満(保証協会融資のみを2番手から借りた場合)
・なぜ事前にうちに相談しなかったのか
・次回以降も2番手でやってもらえばいい
・銀行取引に一貫性がない社長だ
しかし、2番手銀行が保証協会融資だけでなく「プロパー融資」も同時に出してくれた場合、メイン行の受け止め方はガラリと変わります。
2番手がプロパー+保証協会の両建てで出した場合のメイン行の反応
・2番手はきちんとリスクを取ってくれている
・2番手がプロパーを出すなら、うちも出さないといけない
・この社長は銀行との交渉が上手い
近年、金融機関や保証協会は「官に全て頼る資金調達」を懸念する傾向が強まっています。公庫や保証協会(=官)だけでなく、民間銀行のプロパー融資(=民)とも組み合わせることで、リスクを適切に分散できているかどうかが評価軸になっています。
実際、日本政策金融公庫のコロナ対応資本性劣後ローンでも「民間金融機関との協調融資が前提」という条件がついていた時期があり、保証協会側でも単独での保証申請より、民間銀行との協調融資を評価する動きが続いています。
「保証協会融資を提案されたらプロパーも逆提案する」と言っても、いきなりプロパーのみを求めるのは現実的ではありません。まずは両建てを目指すことが重要です。
「借りられればいい」ではなく、「どこから、どの方法で、どのような順序で借りるか」という銀行戦略を意識することが、長期的な金融機関との信頼関係構築につながります。融資の受け方そのものが、企業の財務戦略の重要な一部です。