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2026.2.20

【連載】税理士なら知っておきたい『銀行融資』の知識 【銀行融資ブログNO.8】借入本数が多い企業の特徴とは(その1)

徳永 貴則

【連載】税理士なら知っておきたい『銀行融資』の知識 【銀行融資ブログNO.8】借入本数が多い企業の特徴とは(その1)

あなたの会社は、今いくつの借入をしているか、すぐに答えられますか?
融資相談を受ける中でよく耳にするのが、「気づいたら借入の本数が増えすぎて、何本あるか把握できていない」という声です。

では、なぜ借入本数は増えてしまうのでしょうか。そして、どうすれば本数を減らせるのでしょうか。解決のためにはまず、「借入の中身」と「正しい借り方」を理解することが重要です。今回は「借入本数が多くなる原因」について解説します。

■借入本数が多い会社に共通する4つの特徴

借入本数が多くなりがちな会社には、次の4つのパターンが見られます。

① 銀行の提案をそのまま受け入れ、「借りられるときに借りる」を繰り返している

自社の資金調達戦略がなく、銀行から融資の提案があれば深く考えずに借りてしまうケースです。

特に注意が必要なのが、信用保証協会の制度融資です。銀行は自行のリスクを抑えるために、「特別融資制度」や「地域限定制度」といった保証付き商品を積極的に提案してきます。こうした提案を断る理由もなく受け入れ続けた結果、気づけば本数が増えていた、というケースは少なくありません。

② 資金繰りが苦しくなったら借りる「場当たり的」な対応を繰り返している

日常的に資金繰りを管理していないため、お金が足りなくなって初めて借りに走るパターンです。

このケースの多くは「本業が赤字」であることが背景にあります。返済に充てる原資(キャッシュフロー)が十分に確保できていないまま、「今借りられるから、借りる」を繰り返した結果、本数だけが積み重なっていきます。

③ 設備投資の返済が計画どおりに進まず、補填のための新規借入を繰り返している

①・②とは少し異なるパターンです。
たとえば、耐用年数10年の設備を導入し、「この設備で売上とキャッシュフローが拡大する」という計画のもと、返済期間10年で借り入れたとします。ところが、売上計画が未達に終わり、返済に必要なキャッシュが不足してしまいます。

その不足分を補うために新たに借り入れると、設備借入1本だけで済むはずが2本・3本へと増え、返済総額まで膨らむという悪循環に陥ります。

④ 本業が赤字で、信用保証協会の枠も限界に近い

①〜③のすべてが絡み合った、最も深刻なパターンです。
本業が赤字になると、銀行の自己責任で貸し出す【プロパー融資】(保証なし融資)はほぼ受けられなくなります。利用できるのは信用保証協会を介した保証付き融資に限られますが、保証枠にも上限があるため、枠の残り次第で少額の借入を何度も重ねることになり、本数がさらに増えていきます。

■まとめ:借入本数の多さは「戦略不在」のサイン

4つのパターンに共通しているのは、「資金繰り管理・財務計画・銀行との関係構築」という3つの戦略が欠けていることです。「借入本数が多い」=「資金繰り・財務・銀行戦略がない会社」と言っても過言ではありません。

次回は、借入本数を実際に減らすための具体的な方法についてお伝えします。

執筆者プロフィール

徳永 貴則

平成8年に当時の大和銀行(現りそな銀行)に入行。都心店舗を中心に法人融資業務を主担当し、本部の融資審査セクションでも業務を経験。