税理士の皆様向けに、クライアント企業から資金繰りについて相談された際にアドバイスできる知識をお届けする連載コラムの第3回です。
「金利が上がると返済負担が増えて心配だ」――経営者からこのような相談を受けることが増えていませんか? 税務には精通していても、銀行融資や資金調達の実務に詳しくない税理士の方は少なくありません。
本コラムで銀行の内部事情や交渉のポイントを理解することで、クライアントへの付加価値を高め、他の税理士との差別化を図ることができます。ぜひご活用ください!
2025.11.21
税理士の皆様向けに、クライアント企業から資金繰りについて相談された際にアドバイスできる知識をお届けする連載コラムの第3回です。
「金利が上がると返済負担が増えて心配だ」――経営者からこのような相談を受けることが増えていませんか? 税務には精通していても、銀行融資や資金調達の実務に詳しくない税理士の方は少なくありません。
本コラムで銀行の内部事情や交渉のポイントを理解することで、クライアントへの付加価値を高め、他の税理士との差別化を図ることができます。ぜひご活用ください!
目次
日本銀行のマイナス金利政策解除により、「金利のある世界」が戻ってきました。長年のデフレ時代には経験しなかった「金利上昇」局面を迎え、企業経営者は何を考え、どのような対策を講じるべきなのかについてお話しします。
企業が借入する際に提示される金利は、以下の「4つの要素」で構成されています。
金融機関にとって融資する「お金」は商品であり、それを仕入れるコストが調達コストです。金融機関が資金を調達する最大の源泉は「預金」であり、預金者に支払う「預金利息」が主なコストとなります。
また、店舗網の維持・運営コストなども含まれるため、金融機関の規模によって調達コストは異なります。
人件費、システム費、事務用品費などが該当します。メガバンクと地方銀行・信用金庫等では人件費に差がありますが、金利への影響という観点では大きな差は生じません。
債務者ごとの「信用力」によって変動するコストです。財務内容の良好な企業ほどコストは低く、赤字が継続している企業ではコストが上昇します。決算書に基づく「信用格付」によって算定され、過去の倒産確率データに基づいて算出されるため、倒産件数が増加するとこのコストも上昇します。
金融機関が確保する利益部分です。各金融機関の収益方針によって、求める利ザヤ(利益幅)は異なります。
金利上昇リスクを軽減する方法は、上記の4要素のうち「①調達コスト」と「③クレジットコスト」をいかにコントロールするかにかかっています。
「短期プライムレート」が低い金融機関と取引することで金利を抑えられます。一般的に、メガバンクは地方銀行・信用金庫よりも短期プライムレートが低いため、金利面だけで見ればメガバンクとの取引が有利です。
ただし、「金利の低さ」だけで金融機関を選ぶことは資金繰り戦略上リスクがあります。自社の規模や事業環境、地域性、取引の安定性などを総合的に考慮した金融機関選定が重要です。
企業の信用力を上げることに尽きます。信用力を高めるには「利益を創出し自己資本を増強する」ことが基本です。
本業の売上増強や粗利改善はもちろんのこと、収益力に見合わない「過大な役員報酬」「役員保険の過剰な積立」「公私混同的な交際費や社用車」などを見直し、本業にいかに経営資源を集中させコストパフォーマンスを上げられるかが鍵となります。
「固定金利と変動金利、どちらが良いですか?」とよく質問されます。どちらにもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが得とも損とも言い切れません。
私は「固定金利」と「変動金利」に分散させて借入することをお勧めしています。
例えば5,000万円の借入を行う場合、固定金利と変動金利を半々に分けて借り入れる方法です。金利上昇局面においてどの程度のペースで金利が上昇するかを正確に予測することは困難ですが、金利タイプを分散させることで、それぞれのデメリットを相殺し、リスクを軽減できます。
メリット:返済額が確定し、資金計画が立てやすい。金利上昇時も影響を受けない
デメリット:変動金利より高めに設定されることが多い。金利低下時の恩恵を受けられない
メリット:一般的に固定金利より低い。金利低下時には返済負担が軽減される
デメリット:金利上昇時に返済額が増加するリスクがある
ハイブリッド型借入により、金利上昇・低下のいずれの局面でも一定の安定性を確保できます。ぜひ参考にしてみてください。