税理士業界の人材不足が続くなか、令和8年度(第76回)税理士試験の受験申込者数が公表されました。今年は受験申込者数が前年を上回り、6年連続の増加となった一方で、その伸び率には変化が見られます。
受験申込者数の同行を、どう読み解くべきか。それを自社の採用へ、どのように生かすべきか。本記事では、令和8年度の受験申込者数データをもとに今年の傾向を分析するとともに、税理士法人・会計事務所が採用活動で押さえておきたいポイントや、優秀な人材を確保するためのヒントをわかりやすく解説します。
2026.8.7
税理士業界の人材不足が続くなか、令和8年度(第76回)税理士試験の受験申込者数が公表されました。今年は受験申込者数が前年を上回り、6年連続の増加となった一方で、その伸び率には変化が見られます。
受験申込者数の同行を、どう読み解くべきか。それを自社の採用へ、どのように生かすべきか。本記事では、令和8年度の受験申込者数データをもとに今年の傾向を分析するとともに、税理士法人・会計事務所が採用活動で押さえておきたいポイントや、優秀な人材を確保するためのヒントをわかりやすく解説します。
目次
◆令和8年度(第76回)受験申込者数:4万5,954名(昨年対比101%)
<参考値>
令和7年度(第75回)受験申込者数:4万5,517名
令和6年度(第74回)受験申込者数:4万3,919名
令和5年度(第73回)受験申込者数:4万1,256名
令和4年度(第72回)受験申込者数:3万6,852名
令和3年度(第71回)受験申込者数:3万5,774名
令和2年度(第70回)受験申込者数:3万5,135名
<数値分析>
◆税理士試験の受験申込者数は、令和2年度(第70回)以降6年連続で増加傾向に!
※令和元年度は3万6,701名
◆令和7年度との昨年対比でみると、受験者申込者数は437名増加しました
◆例年、ここから実際に受験する人数から導き出される「受験率」は8割弱程度
→今夏における実際の受験者数は、3万7,000名弱と推測されます
<科目ごとの受験申込者数>
| 令和8年度(第76回) | 令和7年度(第75回) | |
|---|---|---|
| 簿記論 | 26,001名 | 24,802名 |
| 財務諸表論 | 20,428名 | 21,876名 |
| 所得税法 | 1,574名 | 1,554名 |
| 法人税法 | 4,824名 | 4,715名 |
| 相続税法 | 3,248名 | 3,240名 |
| 消費税法 | 9,715名 | 9,436名 |
| 酒税法 | 1,078名 | 942名 |
| 国税徴収法 | 2,696名 | 2,651名 |
| 住民税 | 739名 | 699名 |
| 事業税 | 513名 | 445名 |
| 固定資産税 | 1,415名 | 1,367名 |
<科目ごとの申込者数 前年対比>
簿記論:104.8%
財務諸表論:93.4%
所得税法:101.3%
法人税法:102.3%
相続税法:100.2%
消費税法:103.0%
酒税法:114.4%
国税徴収法:101.7%
住民税:105.7%
事業税:115.3%
固定資産税:103.5%
<数値分析>
◆税理士を目指す人材にとっての入口、簿記論の受験者数が今年も順調に増加!
◆一方で、財務諸表論の受験申込者数が昨対減
→令和7年度 財務諸表論の合格率が驚異の31.9%!この数値が影響したものと考えられます(同年の簿記論合格率は11.1%)
◆そのほか各税法は、すべて受験申込者数は昨対増の結果に
<参考>
令和8年度(第76回)税理士試験 受験申込者数(科目別・試験地別)
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/76/pdf/0026006-102.pdf
令和7年度(第75回)税理士試験結果表(試験地別)
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/75/pdf/0025011-071-15.pdf
北海道:TKPガーデンシティ札幌駅前
宮城県:サンフェスタ
埼玉県:獨協大学
東京都:大正大学
東京都:東京流通センター
東京都:武蔵大学(江古田キャンパス)
東京都:早稲田大学(早稲田キャンパス)
石川県:石川県地場産業振興センター
愛知県:愛知大学(名古屋キャンパス)
大阪府:立命館大学(大阪いばらきキャンパス)
大阪府:大和大学
広島県:広島サンプラザ
香川県:サンメッセ香川
福岡県:北九州メッセ
熊本県:グランメッセ熊本(予定)
沖縄県:沖縄産業支援センター
<おすすめ!>
一部の採用媒体や大学院、税理士資格受験向け予備校では試験会場での情報配布などを実施しています。そうした企業や団体に知り合いがいる場合は、「今年の受験生の様子はどうだった?」と一言聞いてみるのもいいでしょう。
生の表情や、数字だけでは読み取れない傾向を伝えてくれる可能性があります。
受験者数は確かに、6年連続で増加しています。しかし、その数値の伸びは明確に鈍化。近年の増加幅を見てみると…
令和6年度:2,663名増
令和7年度:1,598名増
令和8年度:437名増
→令和4年の税理士法改正によって生じた【税理士試験の受験資格緩和】。これによる影響(=受験者増)は落ち着きを見せたと考えられます。
昨年の合格率が影響を与えたと考えられる「財務諸表論」は申込者数を減らしましたが、同じく税理士資格の入口となる「簿記論」は増加を継続しています。
→税理士=税務会計業界を目指す新しい人材が増加傾向を続けている。このことは、優秀な人材を求める税理士法人・会計事務所側から見れば、好ましい状況と呼べるかもしれません。
勉強時間の合間に生まれる息抜き時間や試験直後に広がる夏の閑散期は、転職を考える求職者たちが最も活動的になる時期です。
確かに10年前と比較すれば、人材が動く波は年間を通じて大きなうねりが生じなくなっています。とはいえ、それでも「夏の試験時期」と「年末の合格発表時期」は夏冬の賞与支給時期とも重なるため、未だに見逃すわけにはいかない重要期間です。
自社からの転職による退職とその補充、先々を見据えた増員採用。いずれの面でも、準備と活動が欠かせません。
・「現職では働きながら合格することは難しい」と感じた受験生は、転職において、「試験休暇」や「予備校通学との両立」「予備校受講費の補助制度」「試験応援をする所内の雰囲気」など、受験勉強と仕事が両立できる職場の特長に惹かれます。
・一方、試験合格への道が開けた受験生は、「学んだ知識を生かせる仕事ができる職場」「税理士資格や合格科目を生かせる職場」「今いる職場からの業務的なステップアップ」といった点を重視します。
こうしたポイントを如何に出せるかが、税理士事務所・会計事務所の採用力にも直結してくるでしょう。自社内でも再度魅力を分析しつつ、採用のプロに相談してみることをおすすめします。
<参考>
国税庁「税理士試験」
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm