暗号資産(仮想通貨)投資が広がるなか、確定申告における税理士需要の実態が調査によって明らかになりました。株式会社Claboが暗号資産経験者305名を対象に実施したアンケート(2026年2月)によると、過去に一度でも税理士へ依頼したことがある人は全体の50.5%に達しました。その一方で、毎年継続して依頼しているのは17.7%にとどまり、スポット的な活用と継続依頼に二極化している実態も浮き彫りとなりました。
■ 投資規模・取引スタイルが依頼率を左右する
まず明確な傾向として現れたのが、投資規模との相関です。運用額が50万円を超える層では依頼経験者が約7割に上り、資産規模の拡大に伴って税務リスクへの意識が高まることが確認されました。暗号資産の利益には累進課税が適用されるため、利益が大きくなるほど計算ミスや申告漏れの代償も膨らみます。
こうした構造を保有者が冷静に捉え、コストを払ってでも専門家を活用する判断につながっていると考えられます。逆に10万円未満の少額投資層では「依頼したことはない」が半数を超えており、投資規模がそのまま依頼判断の分かれ目になっています。
取引スタイルも依頼率に影響します。短期売買を頻繁に行う層や長期・短期を併用するアクティブな保有者ほど依頼率が高く、年間取引件数の多さが申告作業の工数に直結していることが主な要因です。NFTの売買やステーキング報酬など取引の種類が多岐にわたる場合は、一つひとつの処理に高度な税務判断が求められます。対照的に、長期保有中心の層では「依頼なし」が5割を超えており、取引の複雑さこそが依頼を検討するクリティカルな分岐点となっている様子がうかがえます。
■ 依頼を決めた動機——効率化とリスク回避が二大理由
依頼を決めた理由で最も多かったのは「時間や手間を減らしたかった(60.4%)」です。次いで「取引内容が複雑だと感じた(49.4%)」、そして約4割が「税務リスクの回避」を挙げました。この税務リスク回避への意識は、年収が高くなるほど顕著に高まり、年収1,000万円以上の層では約58%に達しました。
高所得者にとって申告ミスが指摘された際の経済的・社会的ダメージは大きく、税理士の関与による「お墨付き」を安心感の購入として捉えている構図が見えてきます。また同層では「時間・手間を減らしたい(69.2%)」も高く、報酬を追徴課税リスクへのヘッジ兼時間創出のための必要経費として位置づけています。
年代別に見ると、20代以下の若年層では「SNSや情報で勧められた(43.8%)」が他の年代を大きく上回り、インフルエンサーやWeb上のコンテンツが依頼の後押しをしています。一方、40代以降では「取引内容が複雑(56.9%)」が主な動機となっており、実務的な行き詰まりが決定打になる傾向が強いです。30代は「時間・手間(66.7%)」と「税務リスク(43.1%)」の両方が高く、効率と将来不安の解消という二つのニーズが重なっています。
■ 「依頼しない」層が抱える入口の壁
依頼しなかった層の理由も注目に値します。「自分で対応できると思った(31.1%)」が最多だったものの、「費用が高い(28.5%)」「依頼方法が分からない(22.5%)」「どの税理士に頼めばよいか分からない(16.6%)」と続きます。女性層では「依頼方法が分からない」が約30%と男性より約10ポイント高く、相談プロセスの不透明さが特定の層にとって大きな障壁になっていることも明らかです。
さらに高所得層では「どの税理士に頼めばよいか分からなかった(33.3%)」が他の層の約2倍に上り、単純な情報不足ではなく「暗号資産に精通した税理士を厳選したい」というニーズに供給が追いついていない実態が示唆されます。資産規模が大きい層ほど、記帳代行にとどまらない深い専門知識を持つパートナーを求めており、税理士側の専門性の可視化と情報発信が差別化の鍵になるでしょう。
(画像:株式会社Claboのプレスリリースから引用)
※参考:株式会社Claboプレスリリース(2026年3月30日)
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