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第111号 2026.6.1

顧問先を導く融資支援の実務 第1回
「“とりあえず借りておきましょう”でいいのか?―対話から考える資金調達―」

徳永 貴則 (株)スペースワン代表取締役

はじめまして。

私はこれまで銀行員として法人融資に携わり、その後は中小企業の資金繰りや銀行融資に関するコンサルティングを行ってきました。現在は、会計事務所の皆様に向けて、顧問先の資金調達や財務アドバイス力を高めるための支援にも取り組んでおります。

日々、経営者や会計事務所の方とお話しするなかで、強く感じていることがあります。それは、顧問先はすでに会計事務所に対して資金繰りの相談をしている、という点です。

「資金が少し心配で…」

「銀行から借りた方がいいでしょうか」

こうしたご相談は、多くの現場で日常的に交わされているのではないでしょうか。

一方で、その返答が「とりあえず借りられるときに借りておきましょう」といった形になっているケースも少なくありません。この言葉自体が誤りというわけではありませんが、少し立ち止まって考えてみる余地もあるように感じています。

本来、資金調達は「いくら借りられるか」ではなく、「なぜ資金が必要なのか」「どのくらい必要なのか」「どのように返済していくのか」という流れで整理していくものです。銀行もまた、「資金使途」と「返済原資」を重視して判断しています。

しかし実務の現場では、このプロセスが十分に整理されないまま、「借りる・借りない」という結論だけが先に進んでしまうことも少なくありません。また、資金繰りの問題は赤字企業だけのものではなく、黒字であっても発生します。その背景には、売掛金や在庫、支払条件といった要素が関係しており、少し視点を変えるだけで見え方が大きく変わることもあります。

では、会計事務所としてどのように関わることが望ましい…

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