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第111号 2026.6.1

日本の農業は税理士が守る! 第5回
税理士 小島拓也

令和のコメ騒動で農業への関心は高まった。しかし、国民の多くは日本の農業の危機的状況を知らない。高齢化と後継者不足の深刻さは増すばかりである。課題は農作物の生産面だけではなく、事業承継や相続対策など、税理士の力が必要な領域にも及んでいる。北海道には、高度なスキルと熱き情熱で、農業経営の継続のために戦う若き税理士がいる。


2025年、農業の倒産件数が過去最多を更新した。82件。この数字を見て、あなたはどう感じるだろうか。倒産した農業者の多くは、何も準備をしてこなかったわけではない。規模を拡大し、設備に投資し、懸命に経営してきた。しかし、後継者問題と借入返済が重なったとき、もはや打てる手が残されていなかった。「もっと早く相談していれば」――。私は何度、この言葉を聞いてきただろうか。

なぜ、手を打てなかったのか。理由の一つは、農業には「事業を引き継いでもらう」ための市場が、まだ十分に機能していないからだ。一般的な中小企業であれば、後継者が見つからない場合、M&Aという選択肢がある。買い手を探し、事業の価値を評価し、売却して引退する。しかし、農業の現場では、この当たり前の仕組みが今なお成立しにくい。

最大の壁は、「価格」の問題である。農業法人の企業価値評価は、現状では、貸借対照表の純資産をベースに行われるケースが多い。だが、この方法では農地の潜在価値が十分に反映されない。長年かけて育ててきた土壌の力。安定した用水条件。近隣市場との距離。地域との信頼関係。これらは帳簿には載らない。しかし、農業経営の根幹をなす極めて重要な資産である。売り手は「もっと価値があるはずだ」と感じる。一方、買い手は「根拠…

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