税理士・会計事務所業界の“知る”を支える、情報プラットフォーム

ニュースやお役立ち情報を随時更新!最新のトレンドなら「税界タイムス」

顧問先はなぜ税理士を変えるのか。最新調査から見える「選ばれる事務所」の条件

顧問先はなぜ税理士を変えるのか。最新調査から見える「選ばれる事務所」の条件

生成AIの普及や賃上げ対応、融資環境の変化など、中小企業を取り巻く経営環境は年々複雑になっています。こうした中、顧問先企業が税理士に何を求め、どのような理由で契約を見直しているのか。小谷野税理士法人が実施した「過去3年以内に税理士(会計事務所)を変更した、または現在変更を検討している」経営者325名への調査結果は、私たち税理士自身の事務所運営を見つめ直すうえで、示唆に富む内容となっています。

■ 顧問契約解消の引き金は「価格」ではなく「対応の遅さ」

調査結果でまず目を引くのは、税理士変更の理由として最も多く挙げられたのが顧問料の高さではなく、レスポンスの遅さや相談のしにくさ(29.8%)だったという点です。加えて、顧問料に見合ったサービスが受けられていないという不整合感(26.5%)や、能動的な提案・アドバイスの不足(26.5%)も上位に並びました。

さらに、実際に税理士探しの行動に踏み切ったきっかけを見ると、融資や資金繰りの相談で頼りにならなかった(30.9%)、決算や確定申告時の対応に不信感を抱いた(28.4%)という回答が多くを占めています。日々の記帳や申告業務が滞りなく処理されているだけでは、経営者にとって「頼れるパートナー」とは映らず、資金調達や重要な意思決定の局面でこそ、税理士の存在価値が問われているといえるでしょう。

■ 新しい事務所選びで重視される三つの条件

顧問先が次の税理士を選ぶ際に重視するポイントも明らかになりました。単なる価格の安さを挙げた経営者はごくわずかで、それ以上に次の三点が重視されています。

(1)相談のしやすさ・人柄との相性

数字の説明にとどまらず、経営の悩みを気軽に話せる関係性があるかどうかが、最初に選ばれる基準となっています。

(2)クラウド会計などITリテラシーの高さ

経営者側のデジタル化が進む中、税理士側の対応力が追いついていないと、それだけで信頼を失う要因になり得ます。

(3)業界特有の専門知識

一般的な税務知識だけでなく、顧問先の業種特性を理解した助言ができるかどうかも、選定基準として重視されています。

 

こうした条件を満たした事務所へ乗り換えた経営者のうち、過半数が業績や経営状態が好転したと回答している点も見逃せません。税理士の選定が、単なる事務作業の委託先選びではなく、経営そのものに影響を与える意思決定として捉えられている表れといえるでしょう。

■ AI時代だからこそ求められる「人間の税理士」の役割

生成AIによる数値処理や申告業務の自動化が進む中でも、経営者が人間の税理士に残ってほしいと考える役割は明確です。「AIが完璧になった場合、人間の税理士にもっとも残ってほしい役割は?」との質問への回答で最も多かったのは、「経営者の孤独・悩みに寄り添う相談相手(37.2%)」としての役割でした。次いで、「AI数値のチェック・社会的信用の担保(33.5%)」が挙げられました。

作業が効率化されればされるほど、逆説的に「人間味のある伴走力」と「専門家としての信認力」の価値が際立つという結果は、私たち税理士業界にとって重要な示唆を含んでいます。

顧問先との日々のコミュニケーション頻度や質、融資・資金繰り局面での積極的な関与、そしてITツールへの対応力。これらは特別な投資をせずとも、事務所の運営方針次第で見直せる部分でもあります。今回の調査結果を、自事務所のサービス品質を点検する一つの機会として活用してみてはいかがでしょうか。

(画像:小谷野税理士法人のプレスリリースから引用)

※参考:小谷野税理士法人プレスリリース(2026年7月23日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000144559.html

コメント

コメントはまだありません。